記憶せよ、刷新せよ。
ある国で。
バスの窓ごしに落書きの王様と目が合った。
その夜、宿のメモ紙に向かって記憶をたどりながら、
落書きの顔を真似して描いてみる。と、
待てよ、もしかするとあれは王様じゃなくて、
女王だったかもしれない、
頭上のクラウンはティアラだったような気がする、
それに鼻の下の髭はアカンベーの舌だった、
そうだ、あれは王様でも女王でもなく、
道化だったかもしれない、しかも、たしか、
片目はこちらを、もう片方の目は上を向いていたはず。
ほんの一瞬だった記憶がなぜか冗舌に膨らんで、
旅のあいだずっと落書きの上書きを繰り返した。
それどころか、あれからずっと。RESTORE AND REFORM.